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災害時に知っておくべき「津波避難ビル」の場所。サイン標識が建物のどこにあるかを調べてみた。

いつ起こるか分からない巨大地震による津波災害。
もし今このとき、自宅で、職場で、地震が発生し津波警報が発表されたら、高台がない市街地ではどこに避難すればよいか頭に浮かんでくるでしょうか?

津波~水害時に目指すべき「避難ビル」

大阪府や兵庫県などにおける沿岸部の市街地では、南海トラフ地震の発生に備え浸水被害の可能性がある地域がハザードマップで示されています。そして被害が想定されるエリアには「津波避難ビル」、「水害時避難ビル」が指定されています。 この指定ビルとは、津波が押し寄せたとき、地域住民が一時的に避難するための緊急避難場所として市町村によって指定されたビルや建物、または施設をいいます。指定された施設にはサイン標識が掲示されています。

 

「津波避難ビル」と「水害時避難ビル」のサイン標識 いずれも緑色を基調として
人が迫る津波等からビルに向かって避難するようすを表したピクトグラムとなっている

 

災害が発生したとき、混乱することでしょう。ですから落ち着いて、しかし瞬間的に「このビルに避難しなくては」と思い出せるくらい覚えておくべきかもしれません。

そのために、まずどこが「避難ビル」なのか日常で確認して知っておく必要があります。 施設の入口付近などにサインが掲示されているそうですが、はっきりと見た記憶がありません。今回、ほんの一部ですが大阪や阪神間の市街地で指定されているビルや施設を巡り、確認してきました 。

避難ビルのサインは、施設のどこに表示がある?

まずは、大阪市の南部・住吉区内の住宅街。
電柱の一角には、近隣小学校が「災害時」避難場所となっていることや海抜の表示がされていました。

「災害時」避難場所の案内標識

同じく住吉区にあるマンション。
サインは、エントランス手前の入居者や来訪者の目につく外壁に掲示されています。

エントランス近くにサインがあれば、来訪者の目に留まりやすい

 

続いて浪速区内の公営住宅です。
市ホームページでは、3棟が並んでおりいずれも避難ビルに指定されていると情報です。 マンションの周りを歩いてみますが、標識が見つかりません。 よく見ると2棟のエントランス部分に表示がありました。通行人には分かりづらいと感じました。

入居者しか分からないような場所にサインが掲示されてるケースもある

 

西区にある大阪市立中央図書館。
避難ビルとして指定されている公共施設は多数あります。 図書館前の歩道を歩いただけでは分かりませんが、入口まで寄ると掲示されていました。 来館者に対して、見えやすい場所に掲示がありました。

図書館の利用者に分かるよう自動ドアのすぐそばにサインがあった

 

余談ですが、西区にある大きな安治川(あじがわ)水門。
安治川は江戸時代、淀川の氾濫対策としてつくられた川です。 そのときの土砂を積み上げてできたのが波除(なみよけ)山というそうで、現在この周辺の町名となって います。 昔から、人が水害に立ち向かおうとしていたことがよく分かります。

安治川水門は、日本で最初にできたアーチ型の水門

 

淀川流域に位置する西淀川区です。
歩道から伺ってもサインが見当たりません。 エントランスのドアに近づいてみると、ようやく見つけかりました。マンションの入居者でないと避難ビルであるか気が付かないかもしれません。

ピロティのような空間の奥にサインがあった

 

歩行者に見えやすいよう、サインの設置に工夫が

大阪市の隣・堺市です。
公共施設には正面玄関にサインの掲示がありました。それに加えて施設外壁の2階ほどの高さに 大きなサインを設置していました。少し遠くからでも避難ビルであることが確認できました。また、車で信号待ちをしているドライバーなどにも認識されやすそうです。

2階ほどの高さにも大きなサインがあり、避難ビルであることが分かりやすい

 

兵庫県に移り、尼崎市です。
歩いていて気がついたのは、市内の多くの電柱に避難ビルの方向を示す標識が設置されていました。市 の独自の対策でしょうか、ウォーキング中でも情報が入ってきます。

尼崎市内では、各所の電柱でこうした案内標識がみられた

 

同じく、兵庫県の西宮市。
市役所には、やはり正面玄関に表示がありました。 また市内を歩くと、歩行者の見えやすい配置や大きさでサインが設置されていました。 出来るだけ人の視界に入ることを意識しているように感じます。

右下写真のサインでは、「指定避難所」という内容も併せて表示されている

 

最後は、芦屋市です。
西宮市と同様、人の往来がある歩道から見つけやすいサインが多いと感じました。 もっとも良いと思ったポイントは、横断歩道周辺や町内掲示板など、人が停留しやすく目に留まる場所にサインを設置していたので、街を歩いていると自然に発見することが出来ました。

掲示サインの大きさと、通行人の視界に入りやすいよう設置されるいることが伺える

 

まとめ

今回、数多く指定されているうちのほんの数例ではありましたが、大阪~阪神間を歩いてみて分かったことは、

  • 避難ビルのサイン標識は、注意しないと気付かない場所に設置されていることが多い
  • マンションや施設は、正面玄関のエントランス(ドア等)まで近づいてよく確認すべき
  • 自治体によって、サイン標識の設置場所や様式がさまざまである

自治体ホームページでは指定ビル情報を掲載しています。例えば大阪市なら、「津波避難ビル 大阪市」と検索すると、上位に表示されます。 まずはそのリストから、自宅や職場などの近くにあるか調べておくのがよいでしょう。

大阪市の避難ビル一覧 「津波避難ビル・水害時避難ビルの確保を進めています」参照
https://www.city.osaka.lg.jp/kikikanrishitsu/page/0000138173.html

ウェブ上の情報やマップで確認するだけでなく、実際の避難ビルを現地まで見に行くことをおすすめします。避難ビルは、立ち入れる時間帯の制限何階より上に行くべき、または指定ビル登録が解除されることもあるようです。

いつ発生するかわからない自然災害。できることから備えておくことがとても大切かと感じました。ぜひ近くの避難ビルを確認してみてください。